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1)大乗仏教研究

大乗仏教とは、紀元前5世紀頃ブッダが教えを説いてから紀元前後までの初期仏教に対して、個人の救済のみならず他者の救済のために尽くすというスローガンを掲げた新しいムーヴメントとして起こったものです。インドからシルクロードをへて中国、朝鮮半島、日本へと伝わり、またチベットへも伝わりました。大乗仏教においては哲学的な思想も大きく発展し、さまざまな学派の思想を生み出しました。「中観思想」「唯識思想」「如来蔵思想」などが代表的なものです。それはさらに民間信仰、ヒンドゥー教の儀礼などを取り入れ、新たに儀礼や修行を重視した「タントリズム」というムーヴメントを生みます。日本で真言宗や天台宗に見られる「密教」と呼ばれるものがそれです。

ツィンマーマン教授は「如来蔵思想」の研究で大きな業績があります。これは「すべての人が悟りを得て、如来、すなわちブッダになる可能性をもつ」と考える思想で、中国や日本、チベットに大きな影響を与えました。この考え方を引き継ぐものが「密教」です。「密教」は秘密の教えと言われ、儀礼や修行方法には隠されたものもありました。それだけ速やかにブッダになる方法だとと考えられたのです。アイザクソン教授はこの「密教」とヒンドゥー教と仏教に共通する「タントリズム」という思想潮流を研究するため、「タントラ研究センター」(Centre for Tantric Studies)を2007年、ハンブルク大学に設立しました。この研究センターの研究には日本を含めた世界中の研究者が参加しています。さらにチベットへ伝えられた大乗仏教の発展を研究するセンターとして、ワンチュク教授は「ケンツェセンター」(Khyentse Centre for Tibetan Buddhist Textual Scholarship)を2011年に立ち上げています。また、研究成果発信としてツィンマーマン教授をエディターとする「ハンブルク仏教研究」(Hamburg Buddhist Studies)シリーズを刊行しています。

このようにハンブルク大学の研究ユニットは、大乗仏教研究では世界拠点のひとつです。翻って、本学では吉水がインド•チベットの中観思想研究、佐久間が唯識思想研究、小野が仏教論理学派研究で成果をあげてきました。現在の協力体制のもと、思想史研究のディシプリンにもとづき、中国や日本も視野に入れた総合的な大乗仏教研究を目指しています。

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