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研究成果の発表(横山啓人)

研究成果の発表(横山啓人) published on

本学学生の横山啓人(人文社会科学研究科哲学・思想専攻)が、ハンブルク大学のコロキウムで研究成果を発表しました。

日程: 2017年1月18日(水)
場所: ハンブルク大学
題目: The criticism against the theory of variegated color (citrarūpa)

概要: 我々が知覚している対象とは一体どのようなものであるのか。この難問に対して、Nyāya学派やVaiśeṣika学派は単一かつ粗大な実体、すなわち全体(avayavin)こそが知覚対象だと述べる。彼らによれば、この全体とは、諸部分を原因として新たに生じた、部分の単なる集合とはまったく別個の単一な実体である。一方、仏教はこうした全体の実在を認めない。Dharmakīrti(ca. 600-660)の注釈者であるPrajñākaragupta(ca. 750-810)は、著書Pramāṇavārttikālaṃkāraにおいて「多様(citra)かつ単一なもの」を批判している。これは、全体説が有する多様色(citrarūpa)というアスペクトに対する批判だと考えられる。多様色理論とは、全体のもつ色は単一かつ多様なものだという理論である。この理論は、Pramāṇaviniścayaなどの記述にもとづいて考えれば、「布や壺といった全体は単一体なのだから異なる色に塗り分けられるはずがない」という仏教による批判から逃れることを目的としたものだと理解できる。そして、PrajñākaraguptaはDharmakīrtiが行った多色蝶や絵画の例を用いた議論を精緻に深めることによってこの理論を徹底的に批判した。これによって、仏教徒の「知覚対象は多数である」という説が間接的に証明された。

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