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人文学の研究成果とは

 
私たちのユニットの研究に則して、人文学の研究成果を考えてみます。

1 知を知る
人間の社会、文化は私たちが言語を用いて「知り、考える」という行為によって作り出されてきました。文系理系を問わず、あらゆる学問もこの行為にもとづいて行われています。人文学の課題はこの行為そのものを知ることにあります。その言語による知の成り立ちを省察し、私たちの知性や理性と呼ばれる精神活動とそれと対峙する肉体や感情との関係を探ります。現代においては人工知能との対比も可能でしょう。いったい何をもって人は人なのか、数値で測れない多様な価値観、倫理観などはどのように生み出されるのか、とくに哲学、倫理、宗教はこの問題への考察を提示します。

2 知の土台作り
さらに人文学の研究は人間活動が生み出してきたものを知ることを目指します。思想、歴史、文学、言語などをさまざまな地域、時代に探り、人間というものを彼らの業績から明らかにします。その材料は彼らが遺した文献や作品になります。それらは誰も顧みなければ過去の遺物であり屍かもしれません。しかし、それらを復元し、翻訳し、現代のすべての人がそれらと出会える機会を作り出すことにより、現代に新しい知、新しい文化を生み出す原動力とする、そして社会倫理のありかた、科学技術の用い方、宗教問題などの課題に、人間の多様な価値観に照らした批判的な検証を加えることのできるパースペクティブを養う、それが人文学の貢献です。これまでの人間の知のイノベーションを知り、新たな知のイノベーションを最もよい形で生み出す土台を提供できれば、それが人文学の研究成果です。

3 知の共有
過去の人々が生きた証である文献や作品を保存・復元し、現代の人々にも理解可能な形に翻訳し、知の財産を共有できるものにして次の世代へ伝えます。形なき知的遺産の継承です。私たちのユニットの研究ではまず写本という一次資料の内容を校訂テキストという形で復元します。そしてそれを英語や日本語などの現代語に翻訳します。難解なところには注釈をつけます。時間と空間をこえて誰でもアクセスできるようにします。複数のテキストを比較し、変遷を歴史、思想史として提示します。さまざまな地域、時代の作品をそれぞれの母国語で読むことができる、そこから学ぶことができる、そんな豊かな文化を私たちが持つことができるのも人文学の成果です。

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